極真会館 太田道場(岐阜)
太田清貴


 少年時代、小中学生の頃、『空手バカ一代』『地上最強のカラテ』に憧れてはいましたが、 高校生の時に読んだ『極真への道』という本に感銘を受けていました。
 今から26年余り前、20才のときに大石道場静岡支部(浜松)に入門しました。 帯を取りたいとか、大会に出たいとか、そんな気持ちはなく純粋に強くなりたいという事しかありませんでした。 大石主席師範は、当時も「極真空手は、基本・移動・型・組手があってこその極真空手である」と言われていました。 今でもその信念は変わってみえず、道着を着て、先頭に立たれ指導され、私自身も本当に良い師に出会えたと思っています。 現在は柔らかくなられましたが、当時は厳しく怖く、とても道場生が声を掛けられるような感じではありませんでした。
 四段の審査は、昨年の春、「2月にある公認審査会を受けるように」と言われ、備えてきました。
6月に山梨の型合宿に参加し、型を覚え、良い手本を見ながら指導を受けました。 「ひとつの型は3千回やれば自分の型になる」と話され、繰り返してやる反復の大切さを話されました。 型の上手な人は、正確さと力強さ、早さ、間、そして柔らかさがあり、同じ型をやっても人によって違い、奥が深いと感じました。 それと補強をしましたが、途中でつぶれ、今の力を再確認しました。
補強をしてから40ラウンド組手が出来るのか不安でしたが、型と補強に重点をおきました。 組手はあまりやらず、走ることとスタミナ練習をしました。
1月の世界大会のセミナーでは、芹澤事務局長と田原先生がご指導して下さり、今やるべき自分の課題が残りました。 観空や五十四歩の型は、大山総裁や偉い師範がやるものと思っており、見向きもしませんでしたが、まさか自分がその型の稽古を する・やるというのは夢にも思いませんでした。
また、1月の末には、沼津総本部で型稽古に参加しました。 5時間以上も行われ、型だけと思っていたのですが、型はもちろん移動・補強(拳立・腹筋・スクワット)50回×5セット、 40ラウンド(シャドウ・サンドバッグ)があり青息吐息で…。夜は体が熱くなり、なかなか寝られませんでした。
 審査の当日は、前日に雪が降っており寒い日でした。
岐阜からは誰も来ないだろうと思っていましたが、14人も来ており責任を感じました。
当日に急に強くなったり、弱くなったり、上手下手になったりはしないから、今の自分を出せればいいと思い臨みました。
午後1時30分、大石主席師範の号令のもと準備体操から基本・移動・型・補強・組手と行われました。 師範から「型が前よりも良くなった」と嬉しい言葉をいただきました。
補強も何とかなり、組手になりました。型と補強で多く汗を出したので体が軽くなりました。 足さえ止まらなければやれるというものはありましたが、20人位過ぎてから息が苦しくなり、もつかなと思いましたが 何とか40人完遂することが出来ました。
今回、50代・60代の方々が、補強を同じ回数やってみえられ驚きましたが、年令で言い訳せず挑戦することに大変感銘を受けました。 武道に年令はないといいますが、実際に行動してやるということは簡単ではありません。 私も年令で言い訳をしない人でありたいと思っています。
入門した頃は、強さとは喧嘩や組手が強くということしかありませんでした。 年数を重ねて、組手が強い、型が上手、スタミナがある、大会で勝ったからといった表面的なものと、 志を持つ、努力する、工夫する、失敗にめげない、逃げない、人のせいにしない、あきらめない、そして弱い人を手助けしてあげるといった 内なる心の強さに気がつきました。
審査会当日まで、自分の心の中に内なる心の闘いがありました。 終わってから反省もありましたが、私なりにやったという満足感もありました。
 大石主席師範はじめ、田畑理事長、小井理事、芹澤事務局長、各先生方、各道場生、皆様方、良い試練の場を与えていただき、 また応援や見守って下さり、ありがとうございました。
一緒に受審した方々にも厚く感謝を申し上げます。  

押 忍