極真会館 太田道場
市川 悟
〜2014年11月30日取得〜


 今回、昇段審査を受けるチャンスを与えて頂いた太田師範に、ありがとうございます。
私の入門以来、関わって頂いた先輩、後輩の皆様に、ありがとうございます。
そして、私を支え、稽古に通わせてくれた家族に、ありがとうございます。
10人組手では、皆様にたくさんの声援を頂き、なんとか10人目まで立っていられました。
声援はとてもよく聞こえていたのですが、思うように動けず、皆様がご覧になった通り、
押されっぱなしのふがいない組手を披露してしまいました。
10人組手には、いくつか課題をもって挑みましたが、ほとんど課題をこなせませんでした。
あの場では、あの組手が、私のやれる精一杯の組手でした。

私は、入門時から、稽古に参加しても、誰よりも稽古の成果が出なくて、
技術もスタミナも向上しませんでした。 ですから、昇段審査というチャンスは無いものと思って、
自己の鍛錬だけを目標に稽古をつづけてきました。
指導員・選手として頑張って稽古してみえる方々には失礼に思えるかもしれませんが、
とにかく、生涯学習として、怪我なく長く、コツコツと稽古を続けられれば幸いと考え、鍛錬してきました。
今まで、一般部に入門されてくる方々が、数ヶ月でみるみる強くなり、大会で入賞するのを見ていると、うらやましい限りでした。
私は、身長が小さく、体重も軽いので、極真カラテには不向きなほうです。
私が稽古に行く度に、太田師範をはじめ各先輩から、とても気遣って頂きます。
皆様に余分な負担をお掛けしている事を痛感していました。
そんな私に、時々太田師範から、
「出来ないから稽古するんだ。極真カラテは武道空手だ。ジムとはちがうから!組手は強い方が良いけど、もっと高い理念の基に極真カラテの存在価値があるんだ。」
という言葉をかけて頂いた事で、頑張る事が出来ました。
その理念がなければ、幼年・少年・女子・壮年部の存在はあり得ません。
のちに、先輩方や県外の道場の師範方々からも同じ言葉を聞きました。
大山総裁の遺された理念が、確実に継承されている極真カラテの素晴らしさを実感しました。

私は一度、入門から数年後に体調を崩して退会をしました。
当時も、仕事が忙しくて、仕事の重圧とストレスで脳神経の具合が悪くなり、
「めまい・動悸・吐き気・不眠・疲労」が原因で、やむなく退会を決意しました。
その時は、稽古どころか、仕事や普段の生活までつらい状態でした。
ブランクは4年間くらいあったと思います。
退会後幸いにも、日本屈指の名医のもとで治療を受けられて、症状が軽くなりました。
症状が軽くなってきた頃、不思議な事に、皆さんと稽古している夢を頻繁に見るようになりました。
K先輩も、同じ様な事を昇段レポ−トに書いておられ、とても共感しました。
しばらく再入門を考える日々を過ごしました。
やがて、意を決し、恵那道場に、稽古前の太田師範を訪ねたところ、とても快く再入門させて頂けました。
現在も病気を治療中で、ずっと薬を飲み続けています。
今まででつらかった事は、この治療で使う薬の副作用です。
この薬は、運動能力を落としてしまう為、筋肉の反射スピ−ドをひどく低下させてしまいます。
ここ数年、やっと薬の量が減らせて、私の主観ですが、組手での反応が少しだけ向上してきました。
また、とても古いケガですが、胸椎に圧迫骨折があり、背中に頻繁に痛みが出ます。
このケガの為、首・肩に筋肉の頑固なコリがあって、とても不都合です。
この頑固なコリを取る為、今年の6月から、週1度、頸椎の横にある神経に、麻酔を打つ治療を始めました。
この成果で、少しずつ首・肩の具合が改善しています。

今でも、相変わらず、技術もスタミナも未熟です。
稽古に行けば、すぐバテてしまう私に、先輩や若い方々から「大丈夫ですか?」と声をかけられる日々です。
もしかしたら、私の自己満足の為に、皆さんに迷惑を掛けているのでは、と思う事があります。
でも道場の皆さんは、稽古に行けば、いつも温かく、厳しく稽古に参加させてくれます。
一般部の方々や先輩は、圧倒的にパワ−とスピ−ドがあって、私にとって恐い存在です。
しかしその実像は、礼儀正しく、向上心が強く、律儀な人ばかりで、とても尊敬します。
フルタイムの仕事を持ち、長年子供と共に稽古に通う女性もみえます。
身体のどこかに不調をかかえながらも、頑張って見える方がたくさんみえます。
その真摯な姿に、いつも心が引き締まります。
道場の魅力は、カラテを通じ、みなさんとのふれあう事で、多様な考え方を学べる点です。
少年部は、感性がとても豊かで、純粋なので、会話していると、とても楽しく刺激になります。
稽古や合宿で、私に話しかけてくれる事が多く、一緒に稽古していると、たくさんの力と、
組手のヒントをもらえます。
体格の小さい私には、とてもありがたい存在です。

極真カラテに入門しなければ、これほど深く、心身の管理とケア・私生活と稽古の両立・非常に多様な
人生観・カラテ観を、学ぶ事はありませんでした。
私の大きな財産となっています。
これからは、謙虚に素直に、出来るだけの努力を続けて行きます。
今後もよろしくお願いします。

押 忍